朔side
小さい頃から身体が弱く、腎臓が悪いと言われていた。
7歳のときに余命3年といわれた。
でも、その時に出会った羽瑠という子に一目惚れした。
俺よりもずっと年上で、
軽い口調で「私の腎臓あげられたらね」なんて笑っていた。
その笑顔が、
その言葉が、
子どもの俺には眩しすぎて。
そんな彼女から、
何か大切なものをもらった気がするのに――
それが何だったのか思い出せない。
そして…俺は10歳になった。
もうすぐ死ぬんだ。
大人になることも、
羽瑠に会うことも叶わぬまま。
そんなある日、病室の扉が開いた。
「どうも。」
白衣でもスーツでもない。
ただの私服の男が立っていた。
サラッとした髪が夕暮れに溶けていけように幻想的だった。
「だれ?」
「うーん。」
返答に困ったように笑う。
儚い雰囲気に思わず…。
「もしかして死神?」
そう言うと、
「あー、そうかも。」
ヘラっと笑う。
「そう。」
「怖くないのか?」
「うーん、わからない。
怖いけど、怖くないような。」
「へぇー可愛げのないガキ。」
「…。」
「悪いな。」
「え?」
「でも、多分お前も同じことをするよ。」
この人は何を言ってるんだろう。
「はい、これ返す。」
差し出されたのは、万華鏡。
「万華鏡。」
「そう。
もう俺には必要なくなる。」
「きれいだね。」
「じゃあな。」
そう言って、
その人はふっと消えるように病室を出ていった。
残されたのは、
手の中の万華鏡と、
胸の奥に残る“何か大切なもの”の感覚だけだった。
小さい頃から身体が弱く、腎臓が悪いと言われていた。
7歳のときに余命3年といわれた。
でも、その時に出会った羽瑠という子に一目惚れした。
俺よりもずっと年上で、
軽い口調で「私の腎臓あげられたらね」なんて笑っていた。
その笑顔が、
その言葉が、
子どもの俺には眩しすぎて。
そんな彼女から、
何か大切なものをもらった気がするのに――
それが何だったのか思い出せない。
そして…俺は10歳になった。
もうすぐ死ぬんだ。
大人になることも、
羽瑠に会うことも叶わぬまま。
そんなある日、病室の扉が開いた。
「どうも。」
白衣でもスーツでもない。
ただの私服の男が立っていた。
サラッとした髪が夕暮れに溶けていけように幻想的だった。
「だれ?」
「うーん。」
返答に困ったように笑う。
儚い雰囲気に思わず…。
「もしかして死神?」
そう言うと、
「あー、そうかも。」
ヘラっと笑う。
「そう。」
「怖くないのか?」
「うーん、わからない。
怖いけど、怖くないような。」
「へぇー可愛げのないガキ。」
「…。」
「悪いな。」
「え?」
「でも、多分お前も同じことをするよ。」
この人は何を言ってるんだろう。
「はい、これ返す。」
差し出されたのは、万華鏡。
「万華鏡。」
「そう。
もう俺には必要なくなる。」
「きれいだね。」
「じゃあな。」
そう言って、
その人はふっと消えるように病室を出ていった。
残されたのは、
手の中の万華鏡と、
胸の奥に残る“何か大切なもの”の感覚だけだった。


