万華鏡は月を巻き戻す


それから3日間。
朔は学校を休んだ。

メールしてみたけれど、返ってきたのは
「ただの風邪だから大丈夫。」
その一言だけ。

本当に大丈夫なのかな……。

そんなことを考えていた放課後。

「あ、月宮。お前、七瀬と付き合ってるよな?」

「付き合ってません。」

「そうか。でも仲良いよな?
これ、プリント届けて様子見に行ってくれるか?」

「え?」

「両親とは一緒に住んでないみたいでな。
一人暮らしらしいんだ。
倒れてたりしたら困るだろ?
俺はまだ仕事が終わらなくて行けなくてさ。」

そう言って、先生は申し訳なさそうに頭をかいた。

「そういうことなら……。」

「じゃあ、頼んだ。」

「はい。」

プリントを受け取りながら、胸がざわつく。

高校生で一人暮らし……?

そういえば──
私は朔のこと、何にも知らない。

毎日笑って、毎日口説いてきて、
気づけば隣にいるのが当たり前になっていたのに。

住所も、家族のことも、
どんな生活をしているのかも知らない。

(……なんでだろう。
急に、怖くなってきた。)

プリントを握る手に、少しだけ力が入った。