万華鏡は月を巻き戻す


「可愛げのないガキだな。」

黒木は乾いた笑みを浮かべた。

「それはどうも。」

朔は一歩も引かない。

「約束しろ。
今後羽瑠を――傷つけないと。」

黒木は肩をすくめる。

「約束するよ。
ここまでバレてるのに無茶はしない。
捕まりたくはないからね。」

その笑みは、自嘲にも諦めにも見えた。

その瞬間、朔がふっと膝をついた。

「朔!? どうしたの?」

私は慌てて駆け寄る。

朔は苦しそうに笑った。

「ごめん……もう、時間みたいだ。」

「……え? どういうこと?」

胸がざわつく。
嫌な予感が、全身を締めつける。

朔はゆっくりと私を見た。
その瞳は、どこか遠くを見ているようだった。