万華鏡は月を巻き戻す

朔 side

羽瑠と別れたあと――
胸が苦しくて、歩くたびに息が詰まりそうだった。

好きだ。
この先も一緒にいたい。
笑って、手を繋いで、くだらないことで笑い合っていたい。

だけど、それはできない。

羽瑠と想いを通じ合えたことは、
本当に嬉しかった。
胸が熱くなるほど、幸せだった。

でもその反面――
“この世界に長くいられない俺”が、
羽瑠の世界に深く入り込んでしまった。

自分の欲に負けて。

本当なら、
羽瑠の知らないところで全部終わらせて、
彼女が傷つかないようにするつもりだった。

でも、
制服姿の羽瑠を一目見て、
そんな考えは全部吹き飛んだ。

情けない。
弱い。
でも、それが本音だった。

それでも――
これで羽瑠は守れたはずだ。

彼女の未来は続いていく。
俺がいなくても、ちゃんと。


ふと夏休み前をのことを思い出す。