万華鏡は月を巻き戻す


透さんに連絡して、朔と一緒に家へ向かった。

玄関を開けると――

「あ、いらっしゃい!羽瑠ちゃん。
朔くんもどうぞ。」

透さんがいつもの柔らかい笑顔で迎えてくれる。

「こんにちは、お邪魔します。」

朔も丁寧にお辞儀して、
途中で買ってきたお土産を差し出した。

「気を遣わせちゃってごめんなさい。」

「いいのよ〜。羽瑠ちゃん、
浴衣、私のでよければあるからどうぞ。」

真実さんが優しく微笑む。

「ありがとうございます。」

「彼氏とのお祭りデートなんて青春じゃない。お手伝いさせて。」

真実さんが楽しそうに笑う。
その言葉に、私は思わず頬が熱くなる。

朔は横で、なにも言わずにニヤッとしていた。

別室に移動して、
淡い紫の浴衣に着替えさせてもらう。
帯をきゅっと締めて、
髪もアップにしてくれた。

鏡に映る自分が、
いつもより少し大人っぽく見える。

「可愛いわね。」

真実さんが満足そうに微笑む。

「ありがとうございます。」

胸の奥が少しだけ温かくなる。
今日が“あの日”だという不安はまだある。
それだけじゃない…