万華鏡は月を巻き戻す

朔もシャワーから出てきた。

「はあー、スッキリした。
お茶飲む?」

「うん。」

カラン、と氷の音がして、
麦茶の入ったグラスが手渡される。
冷たさが指先に心地いい。

少し休んだあとに…。

「さて、夕飯つくろう。」

朔が立ち上がる。

「私も手伝う。」

2人で具材を切って、
テーブルに並べていく。
海苔の香りがふわっと広がって、
なんだかそれだけで楽しくなる。

好きな具材をのせて、くるっと巻いて、
そのままぱくっと食べる。

「はい、これ羽瑠に。」

朔が自分で巻いた手巻きを差し出してくる。

「ありがとう!」

「俺のおすすめ、サーモンチーズ。」

「わあ、美味しい!」

口に入れた瞬間、
サーモンのとろっとした甘さと、
チーズのまろやかさが広がる。

朔が嬉しそうに笑う。

「でしょ。これ最強なんだよ。」

その笑顔を見ていると、
さっきまでの不安が少しずつ溶けていく。

2人で並んで座って、
同じものを食べて、
笑い合っている。

ただそれだけなのに、
胸の奥がじんわりあたたかくなる。