万華鏡は月を巻き戻す


朔と手を繋いで、近くのスーパーへ向かった。

「夕飯、何にするの?」

「うーん…サッパリかガッツリ、どっちがいい?」

「その二択ならサッパリ。」

「じゃあ手巻き寿司にしよう。」

「手巻き寿司とか久々かも!」

「俺、けっこう好きなんだよね。楽しくない?
好きなもの詰めて食べるの。」

「いいね。」

そんな他愛ない会話をしながら、
好きな具材をかごに入れていく。

買い物を終えてアパートへ歩き出したところで、
ぽつ、ぽつ、と冷たいものが落ちてきた。

「うわ、夕立!?」

「近くだから走ろ!」

2人で笑いながら駆け出す。
雨粒がどんどん大きくなって、
着く頃にはすっかりびしょ濡れだった。

朔のアパートに着く。

「うわ、びしょびしょ。
とりあえずシャワー使って!」

「うん。」

「着替えは…これ使って。
あ、下着がないか。ちょっと待って。
近くのコンビニでなんか買ってくる。」

「え?私行くって!」

そう言う前に、朔はもう走り出していた。

ぽつんと残された私は、
とりあえずタオルで髪を押さえながら考える。

戻ってくるの待つ?

「くっしゅん。」

「……浴びよ。」

シャワーを借りて、
タオルで体を拭いていたところで――

「は、羽瑠!!
ここに置いとくよ!ちょっと隙間あけていい?
あの、目つむってるから!
あとよくわかんなくていくつか買ってきたから!」

扉の向こうで、朔が完全にテンパっている。

「うん、ありがとう。」

そう言うと、
朔はさっと袋を置いて、
すぐに扉を閉めた。

買ってきてくれた下着に着替え、
タボっとしたTシャツと短パンを身につける。

「おさきー。」

タオルで髪を押さえながらリビングに戻ると――

「おかえ…り。
下着、平気だった?」

朔が固まっていた。

「うん…ありがとう。
それよりどうしたの?」

「いや…可愛いすぎてやばい。
じゃあ…俺も入ってくる。」

顔を真っ赤にして、
逃げるようにバスルームへ向かっていく。

その背中がなんだか可愛くて、
思わず小さく笑ってしまう。