万華鏡は月を巻き戻す


あの夏の日、
私は、大切なものをひとつ失った。

夕暮れの夏祭り。
浴衣の裾を揺らしながら、りんご飴を一緒に食べて
私は“ある人”と笑い合って、
花火の音を聞きながら想いを通わせた。

胸が少しだけ高鳴って、
でも、どこか不安もあって。
どうしょうもないほど切なくて。

──私はあの日々を忘れることはないだろう。