――行きたくない。
校門の前で、足が止まる。
見慣れたはずの景色。
毎日通っていた場所。
なのに。
今日は、全然違う。
「……無理」
思わず呟く。
だって。
見られる。
絶対、見られる。
昨日までとは、違うから。
「何が?」
隣から声。
びくっと肩が揺れる。
「……学校、です」
「当たり前だろ」
神崎くんは、いつも通りの顔で言う。
「行くぞ」
「……」
逃げたい。
でも。
昨日の言葉が、頭に残っている。
――戻んなよ。
ぎゅっと手を握る。
「……はい」
小さく頷く。
一歩。
校門をくぐる。
――ざわ。
空気が、変わった。
「え、誰あれ」
「他校?」
「めっちゃ可愛くない?」
声が、聞こえる。
ひそひそじゃない。
ちゃんと、聞こえる。
「……っ」
怖い。
足が止まりそうになる。
「前見ろ」
低い声。
隣を見ると。
神崎くんが、前を見たまま言った。
「気にすんな」
それだけ。
でも。
「……はい」
少しだけ、足が動いた。
教室に入る。
一瞬。
空気が止まる。
「……え?」
誰かの声。
「……誰?」
ざわざわと、広がる。
当然だと思う。
だって。
昨日までの私は。
ここにはいない。
席に向かう。
でも。
「……あれ?」
近くの席の子が、じっと見てくる。
「ねえ」
声をかけられる。
逃げたい。
「……はい」
でも、逃げられない。
「その席、〇〇の席だよ?」
――その名前。
一瞬、心臓が止まる。
私の名前。
「……」
言えない。
言ったら。
全部、戻る気がする。
怖い。
「……違います」
思わず、そう言っていた。
「え?」
空気が、揺れる。
「……すみません」
そのまま、席に座る。
視線が、刺さる。
ざわざわが、止まらない。
「おはよー」
軽い声が、教室に響く。
一瞬で、空気が変わる。
「神崎くん!」
「今日もかっこいい〜」
女子の声。
いつもの光景。
なのに。
「……っ」
胸が、ざわつく。
近づいてくる女子たち。
距離が近い。
触れている。
それを見て。
なぜか、目を逸らしてしまう。
「おい」
低い声。
一瞬で、空気が変わる。
「邪魔」
笑ってない声。
女子たちが、ぴたっと止まる。
「今、話しかけんな」
「え……」
「なんで?」
「こっち来い」
そう言って。
腕を掴まれる。
「……っ」
引き寄せられる。
近い。
視線が、一気に集まる。
「神崎くん、その子誰!?」
女子の声。
刺さる。
怖い。
でも。
「関係ねぇだろ」
短く言い切る。
「俺のだから」
――え。
一瞬、思考が止まる。
教室も、静まる。
空気が、変わる。
「……っ」
何も言えない。
ただ。
心臓だけが、うるさい。
「ほら」
小さく、耳元で。
「前見ろ」
その声に。
ゆっくり、顔を上げる。
――ここは、同じ学校。
でも。
昨日とは、違う。
知らない私で、立っている。
そのことが。
少しだけ。
怖くて。
でも。
少しだけ。
嬉しかった。
校門の前で、足が止まる。
見慣れたはずの景色。
毎日通っていた場所。
なのに。
今日は、全然違う。
「……無理」
思わず呟く。
だって。
見られる。
絶対、見られる。
昨日までとは、違うから。
「何が?」
隣から声。
びくっと肩が揺れる。
「……学校、です」
「当たり前だろ」
神崎くんは、いつも通りの顔で言う。
「行くぞ」
「……」
逃げたい。
でも。
昨日の言葉が、頭に残っている。
――戻んなよ。
ぎゅっと手を握る。
「……はい」
小さく頷く。
一歩。
校門をくぐる。
――ざわ。
空気が、変わった。
「え、誰あれ」
「他校?」
「めっちゃ可愛くない?」
声が、聞こえる。
ひそひそじゃない。
ちゃんと、聞こえる。
「……っ」
怖い。
足が止まりそうになる。
「前見ろ」
低い声。
隣を見ると。
神崎くんが、前を見たまま言った。
「気にすんな」
それだけ。
でも。
「……はい」
少しだけ、足が動いた。
教室に入る。
一瞬。
空気が止まる。
「……え?」
誰かの声。
「……誰?」
ざわざわと、広がる。
当然だと思う。
だって。
昨日までの私は。
ここにはいない。
席に向かう。
でも。
「……あれ?」
近くの席の子が、じっと見てくる。
「ねえ」
声をかけられる。
逃げたい。
「……はい」
でも、逃げられない。
「その席、〇〇の席だよ?」
――その名前。
一瞬、心臓が止まる。
私の名前。
「……」
言えない。
言ったら。
全部、戻る気がする。
怖い。
「……違います」
思わず、そう言っていた。
「え?」
空気が、揺れる。
「……すみません」
そのまま、席に座る。
視線が、刺さる。
ざわざわが、止まらない。
「おはよー」
軽い声が、教室に響く。
一瞬で、空気が変わる。
「神崎くん!」
「今日もかっこいい〜」
女子の声。
いつもの光景。
なのに。
「……っ」
胸が、ざわつく。
近づいてくる女子たち。
距離が近い。
触れている。
それを見て。
なぜか、目を逸らしてしまう。
「おい」
低い声。
一瞬で、空気が変わる。
「邪魔」
笑ってない声。
女子たちが、ぴたっと止まる。
「今、話しかけんな」
「え……」
「なんで?」
「こっち来い」
そう言って。
腕を掴まれる。
「……っ」
引き寄せられる。
近い。
視線が、一気に集まる。
「神崎くん、その子誰!?」
女子の声。
刺さる。
怖い。
でも。
「関係ねぇだろ」
短く言い切る。
「俺のだから」
――え。
一瞬、思考が止まる。
教室も、静まる。
空気が、変わる。
「……っ」
何も言えない。
ただ。
心臓だけが、うるさい。
「ほら」
小さく、耳元で。
「前見ろ」
その声に。
ゆっくり、顔を上げる。
――ここは、同じ学校。
でも。
昨日とは、違う。
知らない私で、立っている。
そのことが。
少しだけ。
怖くて。
でも。
少しだけ。
嬉しかった。



