「すぐに返事が欲しいわけじゃないから。考えてくれると嬉しい」
少しして、足音が遠のいていく。
ーー行ったか。
ふう、と張り詰めていた空気が途切れると、もがいていたムタが腕から飛び出す。
男の方、聞いたことのある声だった。落ち着きのあるいかにもカッコいい声。おそらく、成瀬琉生だろう。
もう一方は、小さかったのか相槌だったのか、分からなかった。告白の相手は誰なんだ!
意を決して草陰から顔を覗いた時には、もう誰の姿も見当たらなかった。
放課後、帰宅の支度をしていると、誰かに背中をツンと突かれた。
いつもの可愛らしい笑顔で、百合園さんが立っている。
「山田くん、これから予定とかあるかな?」
「えっ、いや、なにも」
「迷惑じゃなかったら、また練習に付き合ってくれないかなぁ?」
「……なんの?」
少し恥ずかしそうにノートから顔をチラッと出して、ぽつり。
「……字の。手紙、書きたい人がいて」
止めていた手を再び動かす。
まさか、昼間の相手って……百合園さんじゃないよな?
成瀬琉生に書くための手紙なのか⁉︎ なんて返事をするつもりなんだ⁉︎
考え出したらキリがない。
だらだらと冷や汗が流れるなか、百合園さんが不安そうに首を傾げた。
「やっぱり、迷惑かな?」
思い切り首を横に振る。
断ることが出来ず、またしても練習に付き合うことになってしまった。
教室に何人か残っていたため、目立つと思いオカ部の部室を使うことにしたのだが、何週間も使っていないため埃っぽい。
百合園さんが開けた窓から、気持ちのいい風が入ってきた。
少しして、足音が遠のいていく。
ーー行ったか。
ふう、と張り詰めていた空気が途切れると、もがいていたムタが腕から飛び出す。
男の方、聞いたことのある声だった。落ち着きのあるいかにもカッコいい声。おそらく、成瀬琉生だろう。
もう一方は、小さかったのか相槌だったのか、分からなかった。告白の相手は誰なんだ!
意を決して草陰から顔を覗いた時には、もう誰の姿も見当たらなかった。
放課後、帰宅の支度をしていると、誰かに背中をツンと突かれた。
いつもの可愛らしい笑顔で、百合園さんが立っている。
「山田くん、これから予定とかあるかな?」
「えっ、いや、なにも」
「迷惑じゃなかったら、また練習に付き合ってくれないかなぁ?」
「……なんの?」
少し恥ずかしそうにノートから顔をチラッと出して、ぽつり。
「……字の。手紙、書きたい人がいて」
止めていた手を再び動かす。
まさか、昼間の相手って……百合園さんじゃないよな?
成瀬琉生に書くための手紙なのか⁉︎ なんて返事をするつもりなんだ⁉︎
考え出したらキリがない。
だらだらと冷や汗が流れるなか、百合園さんが不安そうに首を傾げた。
「やっぱり、迷惑かな?」
思い切り首を横に振る。
断ることが出来ず、またしても練習に付き合うことになってしまった。
教室に何人か残っていたため、目立つと思いオカ部の部室を使うことにしたのだが、何週間も使っていないため埃っぽい。
百合園さんが開けた窓から、気持ちのいい風が入ってきた。



