夏祭りと言えば、毎年、家のベランダから花火を見るだけだった。
タンスの奥から浴衣なんか出して来て、母親ははしゃぎすぎなんだよ。僕が、久しぶりに人と出かけるのがそんなに楽しいのか。
焼きそばの香ばしい匂い。わたあめの甘い香り。狐や猫の面を付けた客とすれ違って、ふと立ち止まる。
夏の夕方って、こんなにも明るかったんだな。すっかり忘れていた。
「山田くーん、こっちだよ!」
少し離れたところで、百合園さんが手を振っている。
うわぁ……浴衣姿が眩しいぞ。その隣にはカザネと崎田、それから……成瀬琉生⁉︎
なんで、ヤツがいるんだ。聞いてないぞ。
もんもんとしながら、輪に加わった。
すると、背後から誰かに両肩を掴まれて、バランスを崩しそうになる。
「まーくん、浴衣ですね〜! すごく可愛いです〜」
ずしっと肩にのしかかるこの声は、三又依子だ。
となりの百合園さんが、僕の方をじっと見ている。
さりげなく引き離して、呼吸を整えて。
「な、なんで……先輩たちが?」
何事もなかったように話を進めた。
「成瀬先輩が、夏祭り行きたいって言ってたから。ちょうどみんなで約束してるって話をしたの」
「……へぇ」
「それで、流れでここで合流しようってなって」
なんだ、ふたりココアしていたのか。
思った以上に、ちゃんとした反応が出来なかった。
だめだ、顔が引き攣っている。冷静、冷静に。
「ふーん、それってデートの誘いだったんじゃないかぁ?」
じろりと視線を向けるカザネに、なんのことかと言いたげに首を傾げる成瀬琉生。
僕も激しく同感だ。
でも、このイケメンも何を考えているか分からない部分がある。考えていそうで、何も考えていないような。
タンスの奥から浴衣なんか出して来て、母親ははしゃぎすぎなんだよ。僕が、久しぶりに人と出かけるのがそんなに楽しいのか。
焼きそばの香ばしい匂い。わたあめの甘い香り。狐や猫の面を付けた客とすれ違って、ふと立ち止まる。
夏の夕方って、こんなにも明るかったんだな。すっかり忘れていた。
「山田くーん、こっちだよ!」
少し離れたところで、百合園さんが手を振っている。
うわぁ……浴衣姿が眩しいぞ。その隣にはカザネと崎田、それから……成瀬琉生⁉︎
なんで、ヤツがいるんだ。聞いてないぞ。
もんもんとしながら、輪に加わった。
すると、背後から誰かに両肩を掴まれて、バランスを崩しそうになる。
「まーくん、浴衣ですね〜! すごく可愛いです〜」
ずしっと肩にのしかかるこの声は、三又依子だ。
となりの百合園さんが、僕の方をじっと見ている。
さりげなく引き離して、呼吸を整えて。
「な、なんで……先輩たちが?」
何事もなかったように話を進めた。
「成瀬先輩が、夏祭り行きたいって言ってたから。ちょうどみんなで約束してるって話をしたの」
「……へぇ」
「それで、流れでここで合流しようってなって」
なんだ、ふたりココアしていたのか。
思った以上に、ちゃんとした反応が出来なかった。
だめだ、顔が引き攣っている。冷静、冷静に。
「ふーん、それってデートの誘いだったんじゃないかぁ?」
じろりと視線を向けるカザネに、なんのことかと言いたげに首を傾げる成瀬琉生。
僕も激しく同感だ。
でも、このイケメンも何を考えているか分からない部分がある。考えていそうで、何も考えていないような。



