こちら側の百合園さん【1話からの長編大賞】

『どじょうのウナギとかの日じゃなかったか?』

 それを言うなら、土用(どよう)(うし)の日だろ。
 カザネの回答に、思わず突っ込んでしまった。しかも、今年は7月28日だと母が言っていた気がする。

『あっ! それもあった!』
『けどもっと他にある! みんなが楽しめるやつ!』

 相変わらず、適当な奴だな。
 7月31日……カレンダーを見ても、なにがあるかさっぱり検討がつかない。

『31日って、たしか夏祭りがあるよね』

 百合園さんの発言に、ハッとする。
 そうか、もうそんな時期になるのか。毎年、花火は家からチラッと見る程度だったから、日にちなんて気にしていなかった。

『あったりー! 予定なかったら、みんなで行こ!』

 うひゃひゃと言ってそうなお笑い芸人のスタンプが動いている。
 ……崎田め。余計なことを提案するな。
 またポロンと音がして、新しいトーク画面が表示された。

『夏祭り参加する?』

 なんだ? どうしてか、前の会話が消えたぞ。
 いや違う。グループではなく、百合園さんから個別に送られて来たのか! ……なぜ?
 画面にかじりつきながら、おろおろする。

『人混みはあまり得意じゃないから』

 入力途中で、誤って送信してしまった。うわ、これじゃただの感じ悪い奴じゃないか。
 行くか迷っている。打ちかけて、グループの方がポロンポロンと鳴り響く。みんな返すの早すぎるだろう。

 上のテロップで、カザネが行くようなことを伝えているのが見えた。
 ……さて、どうするべきか。非常に悩ましい。