こちら側の百合園さん【1話からの長編大賞】

 夜、夕食を終えて、さて宿題でもするかとノートを開いた時、スマホが鳴った。
 こんな時間に、誰だ?
 チラリと視線を送ってみると、百合園さんの名前が表示される。
 ま、待て、なにごとだ⁉︎ またメモと間違えられたか?
 スマホを持って、部屋の中を右往左往とうろちょろする。

 落ち着け、僕。何も用事なく送って来ないだろう。きっと、連絡事項があるんだ。
 ごくりと唾を飲み込み、丁寧にトーク欄を押す。

『風袮ちゃんから、誕プレもらったよ! 山田くんが一緒に選んでくれたんだってね。すごく可愛い〜♡ ありがとう♡』

 ……ま、マジか!
 近く誕生日だと、カザネから知らされてはいたけど、何日なのか聞きそびれていた。
 それに、語尾にハ、ハートが付いている! しかもふたつ! これに何か意味はあるんだろうか。
 可愛いのあとは、プレゼントに対してとして、問題はありがとうの方だ。女子とココアトークなんてしたことがないから、全く分からないぞ。

 返す前に、またピコンと文章が送られて来た。

『返信はいらないです。また明日、学校でね』

 リボンを付けたフクロウが、手を振っているスタンプまで貼り付けられて。これって、完全にお礼言ったから、はいサヨナラだよな。

 スマホを握りながら、ガクッとベッドへ倒れ込む。
 返信はいらないってことは、したら迷惑ってことなのか? スタンプだけなら、返していいのか? 全く分からない。
 ハートはただのお飾りなんだろうか。誰に対しても付けるものか。誰か、教えてくれ!