ーーそして、現在に至る。
ここへ辿り着くまで地獄だった。必要事項以外は、誰ひとりとして声を発さないのだから。空気が重い。
百合園さん宅前で、僕はふるふると震わせた指をインターホンへ向けた。女子の家を訪ねるなんて、生まれて初めてじゃないか?
しかも、その歴史的瞬間が百合園さんの家だとは、未だに信じられない。
「なにしてんだ、早くしろよ」
ピンポーンと、カザネが男前に押して、僕は出遅れてしまった。くそっ、緊張を横取りされた気分で、少し不完全燃焼だ。
家の中から、母親らしき人が出て来た。百合園さんと雰囲気が似ている気がする。
「あら、六花の高校のお友達?」
「えっと、そうなんすよ〜! 実は……」
ヘラッとする崎田の肩をぐっと引いて、カザネがマスクを外す。
「仲良くしてもらってる鬼頭と言います。それと、その他諸々。六花の体調、どうですか?」
「そう、ありがとう。もう熱も下がって、明日から学校へ行けると思うわ」
一度も聞いたことのなかった敬語が、この金髪の口から出てきた!
しかも、想像してた顔と違う。なんか……めちゃお姉さんぽいぞ。どちらかと言えば、
「……めっちゃ美人」
僕の隣で、崎田が放心としていた。あきらかに、カザネを見る目が今までと異なる。頬を赤らめて、見惚れている顔だ。
現金な奴だな、と僕は目を細めた。
「みんなせっかく来てくれたんだから。どうぞ、上がって行って」
百合園さんの母親に促されて、なぜかお邪魔することになってしまった。
ここへ辿り着くまで地獄だった。必要事項以外は、誰ひとりとして声を発さないのだから。空気が重い。
百合園さん宅前で、僕はふるふると震わせた指をインターホンへ向けた。女子の家を訪ねるなんて、生まれて初めてじゃないか?
しかも、その歴史的瞬間が百合園さんの家だとは、未だに信じられない。
「なにしてんだ、早くしろよ」
ピンポーンと、カザネが男前に押して、僕は出遅れてしまった。くそっ、緊張を横取りされた気分で、少し不完全燃焼だ。
家の中から、母親らしき人が出て来た。百合園さんと雰囲気が似ている気がする。
「あら、六花の高校のお友達?」
「えっと、そうなんすよ〜! 実は……」
ヘラッとする崎田の肩をぐっと引いて、カザネがマスクを外す。
「仲良くしてもらってる鬼頭と言います。それと、その他諸々。六花の体調、どうですか?」
「そう、ありがとう。もう熱も下がって、明日から学校へ行けると思うわ」
一度も聞いたことのなかった敬語が、この金髪の口から出てきた!
しかも、想像してた顔と違う。なんか……めちゃお姉さんぽいぞ。どちらかと言えば、
「……めっちゃ美人」
僕の隣で、崎田が放心としていた。あきらかに、カザネを見る目が今までと異なる。頬を赤らめて、見惚れている顔だ。
現金な奴だな、と僕は目を細めた。
「みんなせっかく来てくれたんだから。どうぞ、上がって行って」
百合園さんの母親に促されて、なぜかお邪魔することになってしまった。



