こちら側の百合園さん【1話からの長編大賞】

 人生の中で、愛の告白を受けたことのある人間がどれくらいいるのだろう。
 高校生なら、割合はざっと58.4パーセントと言ったところだ(山田の脳内調査)

 30人いるクラスメイトの内、約4分の1は恋人という存在がチラついている。
 よってクラスの半数近くは、これまでになんらかの形で告白をされているのだ。と言うことは、されたことのない人間が半数はいるという事態だ(あくまで山田の脳内調査)
 言うまでもなく、僕もその中に入っている。

「お前、彼女できたってマジかよ〜」
「まあな」
「あの同盟はどうしたよ。この裏切り者〜」

 マジかよ、お前。
 このクラスの中では同じ部類だと勝手に認識していた奴に、彼女ができた?
 話したことがあるのは業務連絡程度だけど、地味なボブ仲間だと思っていたのに。
 聞き耳を立てながら、がっくりと肩を落とす。
 可愛い子がモテ男を好きだと知った時よりショックが強い。
 所詮、死ぬまで誰からも相手にされない奴なんて、ほんのひと握りしかいないんだ。

 昼休みの裏庭。食べ終えた弁当をしまう手がピタリと止まる。

「……へ? 今、なんて?」

 茂みの陰から突然現れた百合園さんに、ぽかんと口を開けた。

「だからっ、告白の予行練習をして欲しくて! 山田くんにお願いしたいの」

 顔の前でパンッと手を合わせて、もう一度お願いというポーズをする。
 成瀬琉生に告白するための練習を、僕にしろと?
 ……絶対にイヤだ。死んでもそんな屈辱味わいたくないぞ。