わざわざ、そんなことを知らせなくても良いのに。イケメンのくせに、僕の恥を晒したいのか。
……いや、そうじゃない。この人は、僕のために教えたんだろう。でなければ、百合園さんはここまで心配してくれなかった。
窮地に立たされ、とっさに行動した僕へのささやかなご褒美といったところか。
さっきの助け方といい、顔も性格もパーフェクトなんて、さすが少女漫画の住人だ。
ほら、百合園さんの目が、先輩に釘付けになっている。おそらく彼の性格の良さに……ん?
ぶわっと強風が吹いたと思ったら、向こうから何か飛んで来るのが目に入った。二人とも見つめ合っていて気付いていないのか、動こうとしない。
「あぶ……っ!」
言いかけた瞬間、バコンという衝撃音が鳴った。思わず屈んで頭を抱えていたけど、今の音は……なにかぶつかったのか?!
顔を上げて目に飛び込んで来たのは、体半分の大きさはある看板を、百合園さんが左手一本で止めている光景。
ぐぐぐと力を込める腕と踏ん張る脚に、血管が浮き出ている。少年漫画でよく見るやつだ。
ふんっと振り上げた腕から離れた看板が、どすんと地面へ突き刺さった。
……す、すさまじい。あらためて、なんて腕力なんだ。
「危ないところでしたね」
サラッと髪を揺らしながら向けられた眼差し。そのイケメンすぎる絵面に、男の僕ですらドキッとしてしまう。
いけない。危うく新境地を開いてしまうところだった。
「……す、すごいパワーだね。ありがとう……助かったよ」
それだけ言い残して、成瀬先輩は背を向ける。去りゆく姿は、驚きと動揺が入り混じっているように感じられた。
あれを目の当たりにしたら、無理もないか。
……いや、そうじゃない。この人は、僕のために教えたんだろう。でなければ、百合園さんはここまで心配してくれなかった。
窮地に立たされ、とっさに行動した僕へのささやかなご褒美といったところか。
さっきの助け方といい、顔も性格もパーフェクトなんて、さすが少女漫画の住人だ。
ほら、百合園さんの目が、先輩に釘付けになっている。おそらく彼の性格の良さに……ん?
ぶわっと強風が吹いたと思ったら、向こうから何か飛んで来るのが目に入った。二人とも見つめ合っていて気付いていないのか、動こうとしない。
「あぶ……っ!」
言いかけた瞬間、バコンという衝撃音が鳴った。思わず屈んで頭を抱えていたけど、今の音は……なにかぶつかったのか?!
顔を上げて目に飛び込んで来たのは、体半分の大きさはある看板を、百合園さんが左手一本で止めている光景。
ぐぐぐと力を込める腕と踏ん張る脚に、血管が浮き出ている。少年漫画でよく見るやつだ。
ふんっと振り上げた腕から離れた看板が、どすんと地面へ突き刺さった。
……す、すさまじい。あらためて、なんて腕力なんだ。
「危ないところでしたね」
サラッと髪を揺らしながら向けられた眼差し。そのイケメンすぎる絵面に、男の僕ですらドキッとしてしまう。
いけない。危うく新境地を開いてしまうところだった。
「……す、すごいパワーだね。ありがとう……助かったよ」
それだけ言い残して、成瀬先輩は背を向ける。去りゆく姿は、驚きと動揺が入り混じっているように感じられた。
あれを目の当たりにしたら、無理もないか。



