『顔も見たくない』と振られた御曹司に十年越しで執着されていました

 素直でない返しを、大須賀は艶っぽい笑みで流しながら、自らもワイシャツのボタンに手をかけ、無造作に脱ぎ去った。

 現れたのは無駄のない筋肉が均整よくついた逞しい体躯。広い肩と厚みのある胸板に、日常的に鍛えられていることを物語る筋肉のラインが、ベッドサイドランプの明かりで緩やかに浮かび上がっている。

 圧倒されるような存在感に見下ろされ、背筋が震えた紗月は思わず自分自身を抱きしめた。

「大丈夫?」

「……ごめんなさい。こういうとき、なんて言ったらいいかも、どうしていいのかわからなくて」

「気にしないで……俺も早く君が欲しくて焦ってるから」

 吐息交じりの声が落ちる。言葉とは裏腹に大須賀の表情に迷いはない。抑えた視線の奥に潜む余裕が同い年とは思えない大人の男の危うさを否応なく感じさせた。

「だから、なにも気にしなくていい。俺のことだけ見て……感じて」

 大須賀は紗月の胸元に唇を落とした。まるで、しなやかな獣が身を屈めて獲物を味わうような仕草で直接的に柔肌を嬲られ、紗月はどんどん追い立てられていく。

「ん……っ、おおすがさ……ん」