「…目」
「ん?」
「新さんの目が好きです。子犬みたいにキュルキュルしてるとこ」
新さんから聞いておいて、目を少し大きく開いたまま何も話さない。何か反応してほしいのに、沈黙が続いた。
「…言いましたよ?聞きたいこと、教えてください」
「いや、あの。ちょっと…、待って」
突然ハザードランプに手を伸ばすと、ブレーキがかかった。
「適当に返されると思ってたから、割と本気の答えでびっくりしてる」
新さんの耳と顔は真っ赤に染まり、ハンドルの上部に右手を添えて項垂れている。いつも私を見てくる目がキュルキュルで、思わず素直になってしまう不思議さがあった。それを伝えて、まさかこうなるとは思わなかった。
「那津さんは本当に…。あんまり可愛いこと言わないで?」
「可愛いこと?言ってないです」
「那津さんは可愛いです。僕の目は、可愛いですか?」
「私は別に可愛くないですけど…、新さんの目は可愛いです」
ハンドルに手をかけたまま目尻を下げて呆れたように笑うと、空いている左手が私の頭に乗って、その手が頬に移動した。熱が触れられている頬に一気に集まって、これから何が始まるのか、新さんから目が離せない。でもスッと頬を親指がなぞっていき、すぐに離れた。



