「――ってことでさ、八乙女くんにも、悪い話じゃないと思うんだけ…「あの、もういいですか?」
話を遮った雄星は、足を動かして先輩たちの間を通り抜けていく。
「これ以上聞いていても、時間の無駄なので。帰ります」
有無を言わせぬ態度でこの場を切り抜けようとしたが、先輩の一人に肩をつかまれてしまい、逃亡は失敗に終わってしまう。
「あのさぁ。俺らが優しくお願いしているうちに、うんって頷いておいたほうがいいと思うんだけど?」
「俺らこう見えても、結構腕っぷしは強いんだよねぇ」
こう見えても何も、その派手な外見や話す内容からして、喧嘩を好んで暴力で解決しようとする部類の人間であることがすぐに分かる。
(はぁ、面倒な奴らに目をつけられたな)
雄星が内心で特大のため息を漏らした。
――そのタイミングで、奥にある茂みがガサリと揺れた。
自分たち以外に誰もいないと思っていた先輩たちは、警戒した目つきで茂みのほうを見つめる。



