「お、見~つけた」
「八乙女くんさぁ、ちょっと話したいことがあるんだよね。付いてきてくれる?」
初日の授業を終え、帰宅するために廊下を歩いていた雄星を引き止めたのは、今朝、ユニットに入らないかと声をかけてきた三人組だった。
雄星に用などないし、早く家に帰りたい。
だけどそれを伝えたところで、はいどうぞと帰らせてもらえるとは思っていない。
「……分かりました。手短にお願いします」
雄星たちは、渡り廊下から人気のない中庭へと移動した。
周囲に人の気配がないことを確信した先輩たちは、用件を話し始める。
「今朝も言ったけどさぁ、八乙女くんには、俺らのユニットに入ってもらいたいわけよ」
「俺らこう見えて、けっこう体が弱くてさ。授業も休みがちだったから、単位もギリギリで三年に進級しててさぁ。試験のほうで頑張っておかないと、また補修とか受けさせられたりで、色々と大変なんだよねぇ」
「だから八乙女くんに、俺らと一緒に舞台に立ってもらいたいんだよ」
「あ、ちなみに俺ら、こう見えても、めっちゃ演技は上手いわけ」
「そうそう。この前の授業でも、外部講師できた有名な監督さんに、褒めてもらったしな」
「俺とか、秒で涙を流せるし? 泣かせる演技とか、超上手いわけ」
ぺらぺらと語られる自慢話に、残念ながら雄星は、興味の一欠けらも感じられなかった。
ボーっとしながら聞き流していたが、とうとう我慢の限界がきてしまった。



