「え、あの、遊馬先輩も芥生先輩も、どうしたんですか……?」
「……ううん、何でもないよ。ちょっと目にゴミが入って……」
「うっ、ぐす……ぼ、ぼく、そういう涙腺刺激する系の話には弱いんだって……」
優希の過去を聞き、そして舞台にかけている思いを知った二人は、感極まってしまったのだ。
「実はオレ、年の離れた弟が一人いるんだけどさ。朝比奈くんみたいに体が弱くて、今も入院してるんだよね」
「えっ、そうなんですね……」
「うん。でも、弟もお芝居を観るのが好きでさ。オレが舞凛学園に入学したことも、すっごく喜んでくれてたんだ」
どうやら琥太郎の弟も、優希と似たような境遇らしい。
だからこそ、優希の過去や思いを聞いて、より感じるものがあったようだ。
「当日はさ、友達に動画を撮っておいてもらったものを、弟に見てもらおうと思ってるんだ。オレも弟に楽しんでもらえるような、最高の演技ができるように、もっともっと頑張らないとね」
「ぼ、ぼくも……正直、あんまり自信はないけど……でも、精一杯頑張るから」
「はい! 皆で力を合わせて、最高の舞台を作りましょうね!」
胸の内を語り合ったことで、優希たちの心はまた近づいた気がした。
そして、和気あいあいとした雰囲気で話している三人を――陰でこっそりと見ている二人がいた。



