「それにしても、この前はびっくりしたなぁ」
「この前って、何の話ですか?」
「ほら、八乙女くんのお兄さんの前で、朝比奈くんが啖呵を切って、フィリップ王子の演技をしてみせたでしょう?」
「あ、それは、ぼくも驚いた。朝比奈くんって、見かけによらず男前っていうか……度胸があるよね」
「そうですか?」
自覚がない優希はきょとんとしているが、昨年のキングの前で物おじせずに発言をし、しかも演技を披露しようとする人間など、中々いないだろう。
「朝比奈くんってさ、お芝居経験者だったりするの?」
琥太郎の口から飛び出たのは、以前にも塁生に聞かれた質問だった。
優希は首を横に振り、自身の過去を口にする。



