Actors☆5(アクターズ☆ファイブ) ~5人で挑む、はじめての舞台~



読み合わせが終わり、次の段階である立ち稽古に入った。

立ち稽古とは、実際に動きや表情などを加えておこなう稽古のことだ。


水曜日の午後。

琥太郎が申請してくれていた稽古場Fの舞台に一番に来ていた優希は、舞台の上に立ち、台本を片手に持ちながら、一人で立ち稽古を始めていた。


「全く、父さんは頭が固いんだ。好きな人は、僕が自分で決めるさ」

「僕は、隣の国のフィリップ王子です。あなたのお名前を聞いてもいいですか?」

「待って! お嬢さん、待ってください。……ねぇ、今度はいつ会える?」


王子役である優希は、登場シーンも多い。

特に気になる場面をいくつか声に出して読んでみて、一息ついていれば、パチパチと小さな拍手の音が聞こえてきた。


優希が視線を落とせば、琥太郎と謙杜が舞台下に立っている。

優希は集中していて気づかなかったが、五分以上前には来ていて、優希の立ち稽古を見守っていたのだ。