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晃志が立ち去った後。
少しだけ気まずい沈黙が流れたものの、読み合わせを再開し、すっかりいつもの雰囲気に戻っていた。
しかし雄星は色々と思うところがあるのか、少し休憩を挟めば気難しい顔をして、小さなため息を吐き出している。
「……ってかさぁ、近くで辛気臭い顔されてると、こっちにまで移りそうなんですけど?」
今の雄星はそっとしておいてあげた方がいい。
そう考えて皆が触れずにいたところに、あえて突っかかっていったのは塁生だ。
「……何だ。別に辛気臭い顔なんてしてない」
「いやいや、めっちゃしてるでしょ」
「してない」
「してるって言ってんの。読み合わせ中の無駄に細かい指摘も、さっきから全然言ってこないじゃん。……お前の兄弟喧嘩に、俺たちを巻き込まないでくんない?」
「っ、俺は別に……!」
「言い訳するわけ? お前、絶対意識してるだろ、兄貴のこと。だから読み合わせにも身が入ってないんじゃねーの」
「それは……」
黙り込んでしまった雄星を見て、塁生はわざとらしい溜息を吐いてみせた。
そして、わざとらしくムッとした顔をして、雄星の背中を強めに叩く。
「っ、何すんだよ……!」
「活を入れてやったんだよ。……あのさぁ、もっと頼れよ。同じユニットの仲間だろ、俺たち」



