――しかし、これが中々進まなかった。
少し読み進めるたびに、雄星からの指摘が入るからだ。
それは的を得ているので、はじめは皆も雄星に言われたとおりに読み直していたのだが……これに痺れを切らしたのは、塁生だった。
「お前さぁ、いちいち細かすぎ。まだ読み合わせ始めたばっかなんだから、そこまで気にしなくてもよくない?」
「俺の指摘は間違っていない。早めに修正した方が変な癖もつかなくていいだろう」
「でもさあ、いつまで経っても読み合わせが終わらないじゃん。正直、時間がもったいないっていうかさ」
「……俺のせいで、進行が遅れてるって言いたいのか?」
「いや、別にお前のせいとは言ってないけど? ってか、そんなにカリカリすんなって」
「……カリカリなんてしていない」
塁生の言いたいことも分かるが、その伝え方が良くなかった。
雄星の眉間にはしわが寄り、どんどん不機嫌オーラが漂い始める。
それに呼応するように、塁生の表情も険しくなってきた。
「まあまあ、二人とも落ち着きなって~」
見かねた琥太郎が間に割って入るが、二人の言い合いは止まらない。



