「いや、俺はヒロイン役をやる。先輩たちは分かりませんけど……どうせお前ら、女役なんてやったことないだろ。今回は稽古の時間も限られているし、慣れてる俺がやるのが、一番効率がいい」
それに――自分が主役を演じて目立つことで、あの“八乙女晃成の息子”だと注目を浴びるのを防ぐために、あえて出番の少ない一役を買って出たのだ。
「でも、僕が主役でいいのかな? すごく嬉しいし、やるからには一生懸命演じるけど……!」
優希の王子役は、雄星の強い希望で決定した。
「ま、八乙女がそこまで推すくらいだし? お前の演技、楽しみにしてるからな」
「う、うん。ぼくも、いいと思うよ」
「オレもー! 朝比奈くんの王子様、楽しみだね!」
他の三人も、優希の王子役に異論はないようだ。
「お前ならできるだろう?」
雄星の言葉はシンプルだが、そこからは優希に対する信頼のようなものが感じられる。
「……うん! 僕、頑張るよ!」
優希が力強く頷けば、雄星も満足そうに微笑んだ。
こうして無事に、演目と配役が決定したのだった。



