「これ、王子視点って書いてありますけど、通常の『眠れる森の美女』の筋書きとは違うってことですか?」
雄星が尋ねれば、琥太郎は持っていた台本を雄星に手渡した。
受け取った雄星が中身をパラパラとめくっているのを見ながら、琥太郎は内容についての詳しい説明を始める。
「ベースの物語はそのままなんだけどね。これは主役を姫じゃなく王子にして、王子視点で進んでいく物語にしてみたんだ。ざっくり言えば、退屈な毎日を過ごしていた王子が、城を抜け出して森に行った際に美しいオーロラ姫と出会い、恋に落ちる。悪い魔法使いであるマレフィセントに眠らされてしまった姫を助けにいき、マレフィセントを倒すっていう王道の筋書きだね」
「なるほど。ベースが同じなら俺たちも内容を理解しやすいですし、良さそうですね」
五月のお披露目会は、ゴールデンウイーク明けにおこなわれることになっている。
本番まで、あまり時間がない。
無理に目新しい内容の芝居をして作品を理解することに時間をかけるよりも、皆が知っていそうな万人受けする作品を演じる方がいいだろう。
こうして、何を演じるかについてはスムーズに決まった。



