――舞台俳優を育成するための名門校、“私立舞凛学園”。
国語や数学といった一般教養に加えて、演劇や舞台制作に関する専門的な知識や技術も学ぶことのできる、中高一貫の男子校だ。
数多くある舞台関連の教育機関の中で、今、最も名の知れている学園だと言われている。
演劇業界との強いつながりも持っていて、学園に通いながら有名な舞台に立たせてもらえるチャンスがあることはもちろん、学園を卒業後の就職にも有利になっている。
近くには、女子生徒が通う兄弟校の“私立舞姫学園”も存在していて、時々、合同で授業をおこなったりもするそうだ。
「ねぇ。君、新入生だよね? 演技経験はあるの?」
「そこの君、綺麗な顔立ちしてるね。めっちゃ舞台映えしそう!」
校門をくぐった先は、緊張した面持ちの新入生や、ユニットに誘おうとしている先輩たちで賑わっている。
“ユニット”というのは、共に舞台に立って芝居を披露する、チームのことだ。
舞凛学園では、舞台に立って芝居を披露する試験が、定期的におこなわれる。
五月のゴールデンウイーク明けには、新一年生の力量を図る意味合いも込めた、お披露目会をすることになっているのだ。
この五月のお披露目会では、二・三年生も試験の一環で演劇を披露することになっているので、自分たちのユニットへの勧誘を兼ねて、新入生に声をかけている上級生の姿もちらほら見える。



