「……うん、結構いい感じだったかも!」
「は? ……いい感じって、何がだよ」
「え? ああ、演技だよ。イメージ通りに役に成り切れたなって思ってさ」
「もしかして、お前……今のずっと、演技の練習をしてたのか?」
「うん、そうだよ? ほら、今日配られた自主課題の一つにあったでしょう? 一人芝居用のシナリオの一つに“ミステリアスな探偵”の役がさ」
優希が手にしているのは、よく見れば、今日の授業中に配布された自主課題のプリントだった。
雄星のリュックにも同じものが入っている。
(こいつ、完璧に役に成りきっていたってことだよな。……何者なんだ?)
さっきの優希の演技は、一人芝居とはいえ、演技未経験の素人が演じられるものとは、とても思えなかった。
雄星自身も、優希に向けられた表情には、ゾクリとするものを感じていた。
この胸の奥が震える感じ。
素晴らしい演技に魅了された時の、あの感覚と同じだった。



