
珍しく莉央が風邪をひいた。
「すみません……せっかくのお休みなのに……」
ベッドの上でかすれた声を出す莉央に慧は静かに首を振る。
「何言ってんだ。俺が甘やかすチャンスだろ」
そう言いながら、おでこに冷えピタを貼って、優しく髪を撫でる。
「はい、水。あと、プリン。好きだろ?」
「う……食べたい……」
「なら、じっとしてろ」
スプーンで小さくすくって、莉央の口元に差し出す。
されるがままに口を開くと、すぐにふわっと甘さが広がる。
「ん……おいしい……」
「そうか。食べられそうで良かった。しんどくないか?」
「はい……慧さんがいてくれるから……安心します」
「ならもっと甘えてくれていいぞ」
そっと莉央の手を握って、額にキスを落とす。
「治るまで、俺が全部面倒みてやる」
「……ずるい」
「ずるい? なにがだ?」
「……そんなの、甘えてしまうじゃないですか……」
「だったらもっと甘えたらいい。俺としてはまだまだ足りないからな」
慧の声は低くて優しくて、熱よりも心をとかす魔法のよう。
「…………」
「莉央?」
「慧さんのせいで熱、上がりそうです」
「………ふっ、それは……下がるまでここに居ればいい」
「もう……」
人の温もりに触れて、じんわりと目頭が熱くなる。
慧は莉央が食べきったあともずっとそばにいてくれた。
「莉央、風邪が治ったらデートにいこうか」
「はいっ……嬉しいです」
「良かった。断られたらどうしようかと」
「慧さんからのお誘いを断るなんてありえません」
「ふっ……なら行きたいところ、考えといて」
ふわっと莉央のおでこにキスを落とす。
「はい!」
莉央は頬を染めながらも満面の笑みで答えた。
To be continued

