原始の湖畔、サファイアの瞳

 数日たった頃、白鳥は少し元気になったようだ。
 羽を大きく広げ、水面を貼り回るような仕草も見せている。

 少年は喜びのあまり湖に飛び込み、同じように水面を叩いた。
 まるで同じ動物がはしゃぐように、少年は「ウーウー」と喜びの声を上げる。

 そんな二人のひと時。静寂を破り、数人の『群れ』が彼らの元に現れた。
 女、子供も混じった、飢えに痩せ細った群れだ。

 二人が見つめる中、彼らは大きな葉に包まれた、熟した果実と木の実を差し出した。
 赤色の果実と黄色の木の実。 少年は最初、その意図がわからず、無言で彼らを見つめ返す。

 だが、一人の子供の、落ち窪んだ瞳。その視線が、背後にいる『白』へと注がれていることに気づいた瞬間、少年の背筋に冷たい戦慄が走った。

(――これとそれを、交換)

 彼らにとって彼女は、共に安らぐ『仲間』ではなく、ただ腹を満たすための『獲物』に過ぎなかった。

 差し出された赤い果実が、彼女の血の色に見えて、少年の視界が怒りで真っ赤に染まる。