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「あ、櫂理君おはよう。今起きたの?」
あれから身支度を終え、自室から出て階段を降りると、パジャマ姿の櫂理君を見つけ、笑顔で挨拶をする。
すると、櫂理君は眠たそうな目をこちらに向けた途端、なぜか驚いた表情になり、暫くの間その場で固まってしまった。
……え?
もしかして、この格好変だった?
待てど暮らせど反応がなく、不安な気持ちが徐々に押し寄せてきた直後。
「莉子、めちゃくちゃ可愛い。やっぱり出掛けるのはやめるか」
突然正面から抱きつかれ、急な外出拒否発言に、私は意味が分からず目が点になる。
「何言ってるの?映画楽しみにしてたんでしょ?早く支度して行こう」
褒めてくれたのは嬉しいけれど。想像していたのとは違う反応に戸惑いを隠しきれず、宥めるように彼の背中をさすった。
それから、櫂理君は渋々私から離れると、小さく頷いて自室へと戻っていった。
櫂理君、どうしたんだろう。
もしかして、お出掛け面倒くさくなっちゃったのかな。
なんだか少し疲れているように見えるし、目の下にクマが出来ていたし。
もし、体調不良とかだったら、無理して外出しない方がいいような……。
段々と心配になってきた私は、果たしてこのままお出掛けしていいものかどうか頭を悩ます。
この日を楽しみにしていたけれど、無理をさせてまた風邪を引かせたくないし。やっぱり、ここは姉として彼の体調を最優先に考えてあげないと。
そう心に決めると、私はひとまず朝ごはんの支度をするために、キッチンへと向かう。



