悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~



「櫂理君!」


その時、背後から響いてきた女の叫び声。

咄嗟に振り返ると、視線の先には鬼気迫る表情でこちらに駆け寄ってくる莉子の姿が映った。


「莉子?」

なんでこんなところにいるんだ?

てか、無鉄砲に来られても危ない……


思いがけない彼女の登場に、唖然とした次の瞬間。
突然鈍器で殴られたような強い衝撃が後頭部に走り、視界が揺らぐ。

そして、焦点が定まらないまま、ぐらつく体を支えようと片足に力を入れた直後。別の角度から足払いをされ、不覚にも地面に倒れてしまった。


「櫂理君!?」


その光景に、再び俺の名前を叫ぶ莉子。

見上げると、目の前には見知らぬ銀髪男と緑髪の男が満足げな表情で俺を見下ろしていた。

「なんだ。思ってたより雑魚じゃん。本当にあの部屋の人間か?」

「もしかして、実際は大したことねーとか?」

敢えて抵抗せずに様子を伺っていると、何やら随分と粋がっているようで。

見たところ二年か三年か。
おそらく、これが優星の言っていたことなんだろう。


すると、今度は脇腹を強く蹴られたが、日頃からボクシングのコーチに鍛えられているので、威力は蚊に刺された程度。


「やめて!これ以上櫂理君を傷付けないでっ!!」

だけど、莉子にはそれが伝わらず、声を震わせながら涙ながらに必死で止めに入ろうとする。


莉子の泣き顔を見たのはいつぶりだろうか。

昔喧嘩して泣かせたことはあったけど、俺自身のことで泣かれたことは一度もないかもしれない。

心配かけるのは心苦しけど、少しの心地良さを感じて、つい口元が緩んでしまう。