空めっちゃ暗いな。
雨降んのか?
傘持ってきてないんだけど。
中庭に出た途端、視界に飛び込んできた灰色の空に、俺は小さく肩を落とした。
この前使った折りたたみ傘は干しっぱなしだし、置き傘は無事であったためしがない。
とりあえず、雨が降ったら走ればいいかと。
そんなことをぼんやりと考えながら、俺は再び視線を空に向けた。
そういえば、入学して早々初めて最上階部屋の連中とやり合った時も、こんな天気だったな。
雨が降るんだか降らないんだか、中途半端な暗くて沈んだ空の下。こうして一人で中庭を歩いていたら、突然背後から襲撃された。
「宇佐美櫂理、覚悟しろ!」
……ああ、そうだ。
こんな感じの、まるで時代劇みたいなセリフをはきながら……
なんてしみじみ回想をしていたら、どうやらこれは現実だったようで。
突如目前に現れた大柄のパンチパーマ男が、鉄パイプを勢いよく振りかざし、俺の頭を狙う。
しかし、考えるよりも先に体が反応し、サッカーボールのごとく、俺は男の胴体を回し蹴りで弾き飛ばした。



