彼が去った後も尚、私は呆然としながら閉まった扉を眺める。
どうしよう。
傷付けてしまった。
でも、あの場ではああ言うしかなかった。
私の中で答えが決まらなければ、櫂理君は“弟”のままだから。
それ以上でも、それ以下でもない。
私は深い溜息を一つはくと、徐にアルバムを閉じて、元の位置に戻す。
それから、片付ける気力が一気に失せてしまい、散らかった物を壁際に寄せると、お風呂に入る準備を始めた。
尚も脳裏に浮かぶ、櫂理君の寂しげな表情。
その度に、罪悪感で胸が痛くなる。
彼のことを弟扱いするのは、今に始まったことではないのに。
タイミングが悪かったのか。あそこまで落ち込む姿は初めて見たかもしれない。
とりあえず、明日になればきっといつもの櫂理君に戻るはず。
そう自分に言い聞かせると、強制的に考えることをやめて、部屋を出た。



