地面に倒れたまま微動だにしない櫂理君。
そんな彼を警戒しながら、雨宮君が一歩近付いた時だ。
不意に櫂理君は倒れたままの状態で雨宮君を足払いし、よろけたタイミングで即座に起き上がると、間髪入れず彼の頬を思いっきり殴る。
続けて胸元目掛けて強く蹴り付けた瞬間、その足をタイミング良く掴んだ雨宮君はそのまま櫂理君を投げ飛ばす。
すると、上手く受け身を取った櫂理君はまるでバネのように地面を蹴り上げ、加速したまま雨宮君に強力なタックルをした。
「……ふーん。概ね互角か」
そんな二人の激しい衝突を冷静に分析する圭君。
「ね、ねえ圭君。そろそろ止めた方がいいんじゃない?」
未だ手を出そうとしない圭君に痺れを切らした私は彼を催促する。
櫂理君は顔に青あざが出来、雨宮君は口から血が流れていて、このまま二人を放置したらいつか大怪我に繋がりそうで。
まだ立っていられるうちに、何とかしてこの喧嘩を早く止めて欲しくて、必死に懇願する。
「大丈夫。長期戦になればなる程打撃力の強い方が有利だから。おそらく俺が止めずとも、もうすぐ勝負はつくと思うよ」
終始落ち着いた様子で圭君がそう断言したのとほぼ同時のタイミングだった。
櫂理君のアッパーパンチが雨宮君の顎に入り、後ろによろけた直後。
容赦なく胸ぐらを掴み、そのまま地面に体を強く叩きつける。
すると、頭の打ちどころが悪かったようで、雨宮君の意識がそこでプツリと途絶えた。
こうして、二人の激しい攻防戦はようやくここで終結し、私達は倒れた雨宮君を保健室に運ぶため、急いで彼等の元へと駆け寄った。



