悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~


「あのね櫂理君……」

「あ。莉子、ちょっとここで待ってて」

それから、弁解しようと口を開いた途端。
急に櫂理君はその場で立ち止まり、荷物を持ったままどこかへ行ってしまった。

突然置いてけぼりにされた私は、訳が分からず呆然と立ち尽くす。

けど、このまま突っ立っていても仕方ないので、ひとまず言われた通り、直ぐ近くにあった広場のベンチに腰を掛けた。





__十分後。




「お待たせ」

笑顔で戻ってきた櫂理君の手には、何やら茶色い紙袋があり、そこからバターの甘い匂いが漂ってきた。 

「櫂理君それは?」

「クロワッサン。さっき通った時行列出来てたから、買ってみた」

そう言われて紙袋のロゴをよく見てみると、それは最近出来た女性に人気のお店で、気になってはいたものの。行列に気後れして、まだ一度も食べたことはない。


「え?でも、櫂理君買ってくるの早過ぎない?確か、最低でも三十分以上は待つって聞いたことがあるんだけど」

「ああ。急いでるからって言ったら、全員喜んで譲ってくれた」

「…………はい?」


今、至極当然の顔で、とんでもないことをさらりと言ったような。

つまり、その顔を武器に平然と割り込んで買ってきたと。


……うん。
その場にいなかったけど、状況が容易に想像出来る。


「ダメだよ。ちゃんと順番待ちしなきゃ」

一応注意はしてみたけど、クロワッサンの誘惑に負けて、普段よりもかなり甘めな言い方になってしまった。