「それじゃあ、私はこれで。効果はそのうちすぐ切れますから」
すると、催眠術師のおっさんは結果を見届けずして、そそくさと逃げるようにこの場を去っていった。
効果が切れると言っていたけど、つまりそれって……。
「櫂理君……」
その時、ようやく莉子の反応があり、俺は即座に振り向く。
「あの……」
そして、何やら俺を見る目付きがいつもと違う気がする。
姉としてというより、恥じらいを含んだ、どこか大人びた女の視線……。
「莉子、おいで」
試しに自分の中で精一杯の甘い声を出して、手を差し伸ばしてみたら、莉子は言われるままに小走りで俺の元へと駆け寄ってきた。
それから、何も言わず俺の体に抱きついてきて、恥ずかしそうに顔を胸元に埋めてくる。



