悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~


こうして莉子の許可を得てから、呆れ返るおっさんにこっそりと更なる脅しをかけ、ようやく催眠術が始まった。

まずは莉子をベンチに座らせ、その前におっさんが立つ。

催眠術の仕組みは昨日のテレビでも言っていた。
それは、相手をいかに思い込ませ、どこまで操れるかどうか。

俺はおっさんの実力に少しだけ期待して、その様子を圭と見守った。


「それじゃあ、莉子さん。肩の力を抜いてリラックスして。大丈夫、怖いものは何もないですよ。目を瞑って、頭の中を空っぽにして私の言うことだけに集中してください」

そう言うと、おっさんは莉子の目元を軽く抑えてゆっくりと頭を回し始める。

それだけで手が出そうになる衝動が襲ってくるけど、そこを何とか堪えた。

「莉子さん、幸せになりたいですよね?あなたの側にそれを叶えてくれる大切な人がいます。そして、その人は莉子さんが心から愛する人です。もう手放したくない、見ているだけで愛おしくて仕方がない。あなたの大事な恋人です」

それから、おっさんは一定の音程で語りかけ、莉子に暗示をかけていく。

「では、私の合図で目を開いてください。そうすれば、その大事な人があなたの前に現れます。それではいきますよ。3、2、1……はい」

そして、おっさんの合図と同時に莉子は徐に目を開き、俺と視線を合わせた。


そこから暫しの沈黙が流れる。


……これは、成功しているのか?


莉子は瞬き一つせず無表情のままこちらをじっと見ているので、手応えの程が全く分からない。