悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~



「てめえ、なに莉子の体触ってるんだ?」

そこには鬼のような形相をしながら、庄田君の首を腕で締め付けている櫂理君の姿。

その力はかなり強いのか、あの庄田君がビクともせず、どんどん顔が白くなっていく。

「か、櫂理君!腕離してあげて!」

そのうち泡まで吹き始めてきたので、危機感を抱いた私は慌ててそう叫ぶと、言われた通り櫂理君はすんなりと庄田君から手を離した。

「なんだお前……宇佐美の弟か?随分、舐めた真似してくれるな?」

それから暫く咳き込んでいた庄田君は、ようやくまともに呼吸が出来るようになると、櫂理君を睨みつけて彼の前に立ちはだかる。

「チビのくせに、上級生に手を出そうなんて生意気なん……」

そして、負けじと拳を振り上げた直後。
振り下ろすよりも先に櫂理君の拳が庄田君の右頬に入り、その勢いで彼の体は壁まで吹っ飛んでいった。

その状況に周りが騒然とする。

私も信じられない光景に開いた口が塞がらなかった。


目の前いるのは私の知っている櫂理君じゃない。

取り巻く空気が普段の姿からでは想像出来ない程殺伐としていて、誰も近寄ることが出来ないくらい怖い。


そうこうしていると、櫂理君は倒れた庄田君の髪の毛を掴み、無理やり立たせてから彼のお腹に強い膝蹴りを喰らわせた。

そして、よろけたタイミングで今度は回し蹴りをして、次から次へと攻撃を繰り出す姿は、まるでサウンドバッグを叩いているよう。

「や、やめろ……。もう、やめてください……!」

明らかに小学三年生の動きではなく、全く櫂理君に歯がたたない庄田君は涙を流しながら懇願することしか出来ない。

「櫂理君ストップ!もう止めてー!」

始めは日頃の恨みでただ静観していたけど、このままでは本当に庄田君が死んでしまいそうな気がして、私は慌てて櫂理君の体に飛びついた。

すると、櫂理君の動きがぴたりと止まり、ようやく庄田君から離れてくれた。


「莉子、大丈夫か?」

「う、うん。それよりも早く庄田君を保健室に連れてってあげよう」

「あの豚はそのまま転がせておけばいいだろ」

それから、いつもの櫂理君に戻ると、私の頭を優しく撫でながら酷い言葉を平然と口にする。

「櫂理君なんで急にそんな強くなったの?もしかして、最近帰りが遅いのって……」

「友達に誘われてボクシングジムに通い始めた」
  

もしやとは思っていたけど、まさかそんな所に行っていたとは。

満面の笑みで答えてくれた彼の斜め上な回答に、私は暫く言葉を失った。


「だってお金は?お父さんもお母さんも知らないよね?」

「友達のついでに教えてるからタダでいいって。だから、これで莉子を守れるし、約束も守れるぞ」

そう自信満々に断言する櫂理君は、とてもキラキラ輝いていて、年下なのに凄く頼りに思えて、一瞬心を奪われそうになった。