「そもそも、てめえ莉子のことが好きなのか!?いちいち癪に障るんだよ!」
「お前の独占欲が強過ぎなんだ。あまりしつこいと、そのうちウザがれるぞ」
「莉子が俺を突き放すわけねーだろ!俺は莉子にとって大切な弟だ!」
「それ自分で言ってて悲しくないのか?」
次々と襲い掛かってくるヤクザ共の攻撃を交わしながら、優星と倒す数を競い合っているうちに、段々と本気でキレ始め、俺は近くにあった重厚そうな一人掛け用ソファーを持ち上げる。
「やっぱり、お前ムカつく。何と言われようが、莉子を好きにしていいのは俺だけだ!」
そして、優星目掛けてソファーを勢い良く投げつけたら、あっさりと交わされ、その代わり近くにいたヤクザ数名が犠牲となり、ついでに壁も壊れた。
「その暴力的な行為なんとかしろ。莉子は平和主義者なんだから、それだと一生彼女の負担になるぞ」
すると、相変わらず落ち着いた口調でとても痛いところを突かれ、俺は一瞬言葉に詰まる。
その隙を狙って、優星は近くにあったロッカーを持ち上げると、斧のように振り回してきた。
その威力は絶大で。
攻撃を交わす度に取り巻くヤクザ共が巻き添いをくらい、次第に俺達の周りには倒れた人の山がどんどん増えていく。
「てめえも十分破壊的だ!全然人のこと言えねーだろ!」
いい加減鬱陶しくなってきたので、俺は向かってくるロッカーを思いっきり蹴り飛ばしたら、そのまま窓を突き破り、外へと放り出された。
それからは、ヤクザ達とのやり合いではなく、もはやただの優星との喧嘩となり、周囲からいくらどやされようが、刃物が飛んでこようが関係なかった。
その時、突然部屋中に鼓膜が破れそうになる程の銃声音が響き、俺と優星の動きがそこで止まる。
「お前らいい加減にしろ。ここを何処だと思ってるんだ?喧嘩なら他所でやれ」
振り向くと、目の前にはエラい風格がある白髪の爺さんが銃口をこちらに向けて突っ立っていた。
それを合図に、周囲の奴らも腰から拳銃を取り出し、銃口をこちらに向けてくる。
さすがに、これだけの飛び道具相手に太刀打ち出来るはずもなく、俺達は表情を歪ませてその場で大人しくなった。
「……まったく、つくづく呆れるな」
すると、どこからか圭の静かな声が聞こえた途端。
いつの間にやら組長らしき爺さんの背後に立っていて、拳銃を持つ手を掴むと、そのまま爺さんの腕を変な方向へと折り曲げた。
「ぎゃああああああ!」
突然腕を折られ、爺さんは痛みで絶叫すると、その声に周りのヤクザ共が怯む。
その隙に圭は床に落ちた拳銃を拾い上げ、痛みに悶える爺さんの首に腕を回し動きを封じると、そのまま銃口を爺さんのこめかみにあてた。
「ねえ、車の所在だけ教えてくれればいいんだけど。早くしないと、この人撃つよ?」
そして、いつもの爽やかな笑顔を浮かべながら、カチャリと拳銃のレバーを引く。
その瞬間爺さんの表情は更に青ざめ、小さな悲鳴が聞こえた。
「おおおお前ら!すぐ連絡しろ!なんなら、こいつら、そこに送り届けてやれっ!!」
それから、声を震わせながら指示をすると、周囲のヤクザ共は拳銃を直ぐに下ろし、慌てて電話を掛け始めた。
その光景を見て、改めて俺は心の底から思う。
圭を絶対に怒らせてはいけないなと。



