悪魔な義理弟《ボディーガード》~ヤンキー校最凶犬男子の独占欲が強過ぎる~

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学校からタクシーを使って十分程走り、辿り着いた場所は市街地の外れにある寂れた雑居ビルの前。

そこに表札は何もなく、一見すると何の建物なのか全く分からない。

だから、本当にここが暴力団事務所で合っているのか確証は持てないけど、それは実際行って確かめればいい。

俺は躊躇うことなく、入り口に続く階段を登り、事務所の扉を開いた。



「……あ」

扉を開いてまず視界に入ったのは、ソファーに座っていた見覚えのあるガタイのいいスーツ男が二名。

いつぞやの催眠術師のおっさんを奪った時に倒した奴らで、偶然の再会に思わず声が漏れる。

「ああ!!てめぇ、あの時のクソガキ達じゃねえーか!なんでここにいるんだ!?」

どうやら、相当恨みを買われていたようで。今にも殺しにかかってくる勢いで怒鳴られ、勢いよくソファーから立ち上がった。

「ナンバー893の黒い車がどこいるか聞きに来た」 

とりあえず、こいつらと余計な会話をするつもりは毛頭ないので、要件だけ伝えると周りの空気が一変する。

「は?何言ってんだ?それよりも、あの時のツケはここできっちり払ってもらうぞ!」
 
そして、男の怒りが頂点に達し、こちらに手が伸びてきた矢先。俺はその手を払い、問答無用で男の顔に拳を一発お見舞した。

不意をつかれた男は思いっきり地面に倒れ込み、周りにいたヤクザ達が一斉に立ち上がる。

「てめえら、ナメるのもいい加減にしろっ!」

それから、割れんばかりの怒号が飛び、今度は別の男二人が襲いかかってくるも。間髪入れず、脇に立っていた優星は男達をまとめて飛び膝蹴りで倒す。

その直後、ドヤ顔をこちらに向けてきて、二度目の挑発に怒りの矛先が一気にこの男へと切り替わった。


「おい、たかが二人蹴り倒しただけで何イキってんだ?」

「別に。ただ、どうせやるなら楽しんだ方がいいだろ?」

「は?」

何言ってんだ、こいつ。

「つまり、あれか?虫を潰した数競おうってのか?」

こんな状況下で勝負を吹っ掛けてくるとは、やっぱりこいつも相当イカれてる。


………………けど、悪くない。


その時、始めに殴った男が起き上がり、近くにあった鉄パイプを握ってこちら目掛けて勢い良く振りかざしてきた。

しかし、すんでのところでかわした俺は、回し蹴りで首の後ろを蹴りつけると、男は完全に意識を失いその場で倒れ込む。

「やるならここまでしなきゃ数に入んねーぞ」

「ああ、分かった」

そして、負けじと俺も挑発的な態度をとると、優星は余裕な表情を崩すことなく頷き、その反応が益々忌々しい。


すると、事務所の外から複数の足音が聞こえてくると、今度はざっと十人以上はいるヤクザ達が、各々の凶器を携えて入り口になだれ込んできた。

どうやら、大人げなく高校生三人相手に本気で潰しにかかるらしい。

けど、幾ら数がいたとしても、この限られた部屋の狭さでは行動が限られる。

つまり、今からここは俺らの《《絶好の狩場》》ということ。