◇◇◇
「言っとくけど、莉子と二人っきりになってたの、まだ許してねーからな」
「そもそも、シスコン男に許して欲しいなんて微塵も思ってないから安心しろ」
「ねえ、あんた達もう少し緊張感持てないの?」
職員室までの道中。
優星の顔を見ると再び忌々しい記憶が蘇ってきて、俺は堪らず食ってかかったら、隣を歩く女にすかさずツッコまれた。
「それで、先生達も動いてはくれているけど、あまり期待しない方がいいかも」
「はなから期待なんかしてねーよ」
そして、莉子がいなくなってからの経緯を教えてくれたけど、俺は話半分で聞き流す。
そもそも、授業中に生徒が居なくなるなんて日常茶飯事なので、奴らはそこまで重要視しない。
これが長引けば本格的な捜索に入るのだろうけど、それでは遅過ぎる。
だから、一刻でも早く莉子を見つけ出すためには、自分達で動くしかない。
それから、職員室の前に辿り着き、莉子の担任を呼びつけて落とし物について確認をしたら、既に受け取ったと言う。
ただ、中身に関してはやはり頑なに教えてくれなかった。
けど、それが憶測を確たるものに変えてくれたので、それ以上は追及せず、俺達は大人しく職員室を後にする。
「莉子さんがここまで来たということは、おそらく教室に戻るまでの間に拐われた可能性が高いね」
「でも、教室に続く通路は人通りが多いから、何かあったら直ぐに櫂理君の耳に入るんじゃない?」
「……となると、考えられるのはこっちか」
検討した結果、俺は教室とは反対側の通路を指差す。
この先は空き教室が多いから、不良達の溜まり場となっていて、普段はあまり人気がない。
故に狙うならその辺が濃厚な気がして、確認のためにポケットからスマホを取り出すと、莉子に電話を掛けながら薄暗い通路を歩き出す。
「……やっぱり出ないよね?」
「まあ、そうだろうな」
暫く電話を鳴らしてみるも一向に反応はなく、既に数分が経とうとしているけど、目的は莉子の安否確認ではない。
もし、突発的に襲われたとしたなら、連絡手段を断ち切る為、その辺にスマホが捨てられてる可能性はある。だから、俺はその可能性に賭けて耳をそばだてた。
大体は暫く鳴らすと留守番電話サービスに繋がることが多いけど、莉子のスマホには設定されておらず、いつも文句を言っていた。
でも、今はそれが希望となり、俺は物音一つ聞き逃さないよう慎重に歩を進めていくと、僅かながらにスマホの着信音が聞こえてきた。
「あった!」
音源を辿り、物置部屋となっている扉を開いた途端、床に転がっていた莉子のスマホを見つけ、俺は即座にそれを拾い上げる。
当然ながら中はもぬけの殻で、争ったような形跡は特になかった。
「スマホを見つけたのはいいけど、その後の手掛かりは特にないだろ。それとも、ここからしらみ潰しに聞いて回るのか?」
喜ぶ俺とは裏腹に、全く手応えを感じていない優星は怪訝な表情でそう尋ねてくると、俺は投げられた質問に対して鼻で笑う。
「誰がそんなことするかよ。襲われた大体の時間と場所が分かれば、それで十分だ」
そして、小さく微笑むと、スマホをポケットに仕舞い、ある場所へと向かうことにした。
「言っとくけど、莉子と二人っきりになってたの、まだ許してねーからな」
「そもそも、シスコン男に許して欲しいなんて微塵も思ってないから安心しろ」
「ねえ、あんた達もう少し緊張感持てないの?」
職員室までの道中。
優星の顔を見ると再び忌々しい記憶が蘇ってきて、俺は堪らず食ってかかったら、隣を歩く女にすかさずツッコまれた。
「それで、先生達も動いてはくれているけど、あまり期待しない方がいいかも」
「はなから期待なんかしてねーよ」
そして、莉子がいなくなってからの経緯を教えてくれたけど、俺は話半分で聞き流す。
そもそも、授業中に生徒が居なくなるなんて日常茶飯事なので、奴らはそこまで重要視しない。
これが長引けば本格的な捜索に入るのだろうけど、それでは遅過ぎる。
だから、一刻でも早く莉子を見つけ出すためには、自分達で動くしかない。
それから、職員室の前に辿り着き、莉子の担任を呼びつけて落とし物について確認をしたら、既に受け取ったと言う。
ただ、中身に関してはやはり頑なに教えてくれなかった。
けど、それが憶測を確たるものに変えてくれたので、それ以上は追及せず、俺達は大人しく職員室を後にする。
「莉子さんがここまで来たということは、おそらく教室に戻るまでの間に拐われた可能性が高いね」
「でも、教室に続く通路は人通りが多いから、何かあったら直ぐに櫂理君の耳に入るんじゃない?」
「……となると、考えられるのはこっちか」
検討した結果、俺は教室とは反対側の通路を指差す。
この先は空き教室が多いから、不良達の溜まり場となっていて、普段はあまり人気がない。
故に狙うならその辺が濃厚な気がして、確認のためにポケットからスマホを取り出すと、莉子に電話を掛けながら薄暗い通路を歩き出す。
「……やっぱり出ないよね?」
「まあ、そうだろうな」
暫く電話を鳴らしてみるも一向に反応はなく、既に数分が経とうとしているけど、目的は莉子の安否確認ではない。
もし、突発的に襲われたとしたなら、連絡手段を断ち切る為、その辺にスマホが捨てられてる可能性はある。だから、俺はその可能性に賭けて耳をそばだてた。
大体は暫く鳴らすと留守番電話サービスに繋がることが多いけど、莉子のスマホには設定されておらず、いつも文句を言っていた。
でも、今はそれが希望となり、俺は物音一つ聞き逃さないよう慎重に歩を進めていくと、僅かながらにスマホの着信音が聞こえてきた。
「あった!」
音源を辿り、物置部屋となっている扉を開いた途端、床に転がっていた莉子のスマホを見つけ、俺は即座にそれを拾い上げる。
当然ながら中はもぬけの殻で、争ったような形跡は特になかった。
「スマホを見つけたのはいいけど、その後の手掛かりは特にないだろ。それとも、ここからしらみ潰しに聞いて回るのか?」
喜ぶ俺とは裏腹に、全く手応えを感じていない優星は怪訝な表情でそう尋ねてくると、俺は投げられた質問に対して鼻で笑う。
「誰がそんなことするかよ。襲われた大体の時間と場所が分かれば、それで十分だ」
そして、小さく微笑むと、スマホをポケットに仕舞い、ある場所へと向かうことにした。



