敏腕記者の怪我は溺愛の始まり~そんな昇格結構です

 ふたりのやり取りを茫然と見ていた雪はつぶやいた。

「チーフ……まさか……チーフってこの病院の院長の息子さんなんですか?」

「……あ、ああ……実はそうなんだ」

 雪は驚いて口を抑えた。

「えー!ど、どうして記者に?」

「まあ、それはその……色々あったんだよ」

 すると間もなくバタバタと言う音がして、ドアがノックもなく勢いよく開いた。

「ちょっと、透!大丈夫なの?」

 そこにはワンピースを着た綺麗な人が立っていた。

 でも、顔立ちがどこかチーフに似ている。

「想像以上に早かったな。やあ、母さん久しぶり。元気そうで何よりだ」

「元気そうで何よりって……ちょっと透!」

 大きな声で怒るお母様。まあ、気持ちはわかる。

「ああ、心配かけて悪かった。大丈夫だからさ。右足甲の剥離骨折だ。全治2ヶ月かな?」

「自動車にひかれたって、あなた何してたの?ちゃんと周りを見て歩かないとダメでしょ」

「は?」

「横断歩道で信号が青でも、周りを確認してから渡らないとダメって最初に教えたでしょ」

「プッ」