暁に星の花を束ねて ─「上の方です」と答えたら、世界の上でした☆篇

「……あら?」

最初に声を上げたのは、艶のある巻き髪の女性だった。
彼女は葵を頭の先からつま先まで一瞥し、にこやかに微笑む。
その笑みは上品だったが、刃物のように薄く光っていた。

「あなた、見かけない方ね。最近越していらしたの?」
「えっ? あ、はい? えっと、越してきたというか……」

葵が曖昧に笑うと、別の女性がふっと鼻先で笑った。
こちらは細身で、ジュエリーの数が妙に多い。
喋る前から「私は勝ってます」という気配が全身から漂っていた。

「まあ、可愛らしい方。ご実家が太いのかしら」
「最近はご主人のお仕事で入る方も多いですものね」
「このマンション、審査が厳しいでしょう? どなたのお部屋なの?」

三方向から柔らかく詰め寄られ、葵はきょとんと瞬きをした。
悪意があるのかないのか、判別が難しい。
だが少なくとも品定めされていることだけは分かった。

「うちのお部屋、ですか?……あれ!?」

葵はそこで気がついた。
最上階までの手前で階数が表示されていない。

共有エレベーターには最上階までの直通がないのだ。

(ええ、どういうこと!?どうしよう!!)

焦る葵。
その様子が女性達のマウント心を煽る。