響け!涙のペザンテ

そう言ったリズに、オルハン・フリストウが仕事の手を止めて言う。

「提出期限が確かまだある書類だったし、今日はいいんじゃないかな?」

「そうそう!明日でもいいんじゃない?」

マーガレット・アンバーもオルハンに同意する。しかし、リズは首を横に振った。

「早めにレオンハルトさんに提出したくて。家はすぐそこですし、取ってきます」

そう言い、リズは事務所を出たのである。家に忘れた書類はすぐに見つけることができた。それを手にリズは事務所へと戻っている途中だった。足が自然と早くなり、周りを嫌でも見てしまう。

(ここ最近、変なことが続いているせいね)

リズの頭に最近起こった出来事が次々と蘇る。まるで自分の命が狙われているかのような出来事ばかりが起こっている。リズの手が小刻みに震えた。

(これは、きっと気のせいじゃない)

レオンハルト、オルハン、マーガレット、アントーニョ・セルバンテスのような探偵ではない。しかし、「偶然」と語るにはあまりにも不自然な出来事ばかりである。