響け!涙のペザンテ

ギルベルトは遺体に近付く。そして手をかざして呪文を唱えた。

「ヴィンデゥン!」

遺体に残っていた微力な魔力がふわりと浮き上がる。そのまま魔力はゆっくりと裏路地から移動し始めた。ギルベルトとレオンハルトは顔を見合わせて頷き、魔力のあとを追う。この魔法は、魔力の主を探す魔法だ。この魔力を辿れば主に辿り着くことができる。

(一体誰があんなことを……)

魔力は裏路地を出て、住宅街や商店街を飛んでいく。しかし、その途中で魔力がプツリと途切れてしまった。レオンハルトとギルベルトの足が止まる。

「消えた……」

「魔力のことを思い出して魔力制御をしたみたいですね」

これで捜査は振り出しに戻った。他の警察官たちも聞き込みに走っているものの、事件が発生した時間が夕方を過ぎていた。目撃者を探すのは難しいだろう。

「事件が起きた瞬間を映像で見れる魔法があればなぁ……」

ギルベルトがため息を吐く。魔法は決して何でもできる万能なものではないのだ。