嘘から始まる恋煩い!

相当勇気を出したらしく、世那の顔はほんのりと赤く染まっている。無理やり話題を変えていることがバレバレだ。
ふと、オレの心に暗雲がたちこめた。
………オレにはこんなストレートなこと、言えない。

もし世那みたいなことを言ってしまえば、美亜にオレの恋心がバレてしまうかもしれない。
だって美亜は、良くも悪くも人からの感情に敏感だから。
人から好かれているのにも鋭い代わり、人から悪意を持たれていることもすぐ察知してしまう。
もしオレの好意がバレたら………、前みたいな関係には戻れないかもしれない。
オレのことを危険だと思って、オレから遠ざかってしまうかもしれない。
それはオレにとって、ものすごく耐え難いことだった。
どうせ遠ざけられるなら、オレのこの気持ちは伝えない方がいい。
昔みたいに困ったときに頼るだけの、「都合のいい存在」でもいい。
美亜に拒絶だけは、されたくなかった。

………世那が羨ましいよ。
さすがに人からの好意に気づきやすくても、弟の恋心には気づかないだろう。
美亜にとって世那は、ただの弟。弟が姉を恋慕うことなんて考えたこともないはずだ。
だから世那はその分、美亜に気づかれないままその距離を縮めることができる。
もちろん世那の恋が叶う確率は低いだろうが、それでも思った褒め言葉をすぐに言える、その関係性は羨ましいと思った。