無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される

「まぁ、まだ全部の力を取り戻したわけじゃないきゅから、この姿も短時間しか無理きゅけどね」

そういうとマルは、ぐるんとでんぐり返りをする。不思議なことに着地するときには、いつものマルのサイズに戻っていた。

「すごい……」

「そうきゅか? でも真白の天授の力にはかなわないきゅよ」

「え……、私の天授の力?」

「真白が天授の力をもつ手で我を看病し、食事を作ってくれたおかげきゅ」

(本当に私に天授の力が……)

「ねぇマル。本当に私が天授の力をもつなら……千隼様の呪いを解くことができるの……?」

「もちろんきゅ。真白はすごい力をもってるきゅ」

マルが私の膝にぴょこんと乗ると甘えたように頬をぺろりと舐める。

「ふふ、マルくすぐったいわ」

その時、背後にぞっとする気配を感じる。

「──グルル……無能……モノ……殺す……」

「真白!、後ろ!!」

柱の陰から髪を振り乱し、涎を垂らしてこちらにフラフラと近づいてくるのは鬼と化した彩芽様だった。額からは四本の角が生えており、瞳の色も鬼の証である黄色に変化している。

「アイツ……四本鬼に噛まれた毒で鬼化してるきゅ! ここは我に任せて真白は逃げるきゅ!」

「そんなことできないわ……っ」