無能の花嫁は余命僅かの鬼狩り当主に溺愛される

「そんなこと……とても信じられません」

「信じられないかもしれないが俺にはわかる。真白のお陰だ。真白が俺を救ってくれたんだ。ありがとう」

真白が肩を震わせると、俺の背中をぎゅっと抱きしめた。

「私にそんな力があるかわかりません。でも……お役に立てて嬉しいです」

「今度、帝都一の薬師に見てもらおう。真白の天授の力についても何かわかるかもしれない」

「はい……」

真白が濡れた瞳に俺を映す。

気持ちを確かめるように唇を近づければ、彼女の長い睫毛が静かに閉じられる。

互いの唇が触れる寸前、渡り廊下をこちらに向かって駆けてくる音が聞こえて、俺たちは慌てて身体を離した。

「当主様、大変でございます」

「なにごとだ?」

「早馬が参り、街に五本鬼が出たと」

(!!)

鬼はその角の数で邪悪さが違う。俺が率いる極楽隊の隊員は皆優秀だが、五本鬼となると無傷では済まない可能性が高い。俺が行って狩る方が誰も血を流さずにすむ。

「わかった、すぐ行く」

刀を持って立ち上がれば、すぐに真白が軍服を抱えて持ってくる。

「千隼様、どうかお気をつけて」

「ああ、留守を頼む」

着替えをさっと済ませた俺は、すぐに馬に跨り街へ向かった。